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高校生の時に読んだ本 その2

今号では、藤井基男さんと中条一雄さんについてご紹介します。


  藤井基男さんと言えば、日本で初めて「シェークのラケットを使った
  カットマン」として第一人者となった人です。


  最近卓球を始めた方や、今の中高生の人はご存知ないかも知れません。
  世代的には荻村伊知朗さんと同世代の方ですから、卓球を長年やって
  いる40代や50代の方なら知らない人はいないでしょう。


  現在のように卓球のビデオや本が無い時代に、時の世界チャンピオンで
  あるバーグマンのたった一枚の写真から、カットのフォームを研究した
  という逸話を持つ人です。


  おそらく凄まじいまでの努力と創造力で、第一人者まで上り詰めたの
  でしょう。


  藤井さんは卓球レポートにカットマンの練習のコツを執筆されていた事も
  ありますし、また多くの卓球の本を世に出されています。


  OBUは藤井さんが書いた本を、結果的にたくさん読みました。
  中高生の頃は本屋に行くと、必ずスポーツコーナーの卓球の本を
  読み漁る様な少年でした。本屋さん、スミマセン。 (^^;


  結果的に、と言うのは、つまり、こういうことです。
  「喩えが上手いな」とか「ナルホドそうか」とか思う文章に出会い、
  誰が書いた本だろう?って見てみると、著者の中に藤井さんの名前が
  あったりしたのです。


  私は本当に藤井さんの文章、その発想に強く影響を受けました。
  藤井さんの文章は親しみやすくて、重要なことがさらりと書かれています。


  例えば「卓球短期上達法(ベースボールマガジン社)」では、
  こんな感じです(私の記憶では)。


  ・・・・・

  卓球選手には戦わなくてはならないライバルが3人いる。


  一人目のライバルは、文字通り好敵手(ライバル)だ。
  目の前のライバルに勝たなくては、勝利は得られない。
  しかし、ライバルがいるからこそ、自身が磨かれることも知るべきだ。


  二人目のライバルは、自分自身だ。
  弱気になりそうな自分、くじけそうになる自分に克たなくてはならない。
  自分に甘い人ほど努力が長続きしない。


  三人目のライバルは、時間だ。
  選手としての体力的ピークは短い。女子なら20歳前後、男子なら20歳
  から25歳くらいまでが最も体力が充実するときだ。そのピーク時に
  最高のプレーが出来るように、数年間かけて準備してみるのも面白い。
  時間はあるように見えて実は短いものだからだ。

  ・・・・・


  二人目のライバルまでは、ま、よく言われることですよね。
  しかし、三人目として時間を挙げるところが ・・・ う~ん、鋭い!


  「三人のライバル」と言われて、全部答えられる人は少ないのでは
  ないでしょうか?


  もしあなたが中高生の指導者ならば、こんな長期的視野にたった
  指導もいいかも知れません。




  また「中高生指導講座2(卓球レポート編集部)」では、
  走り高跳びの選手を例に、スポーツ心理学の一端に触れています。


  ・・・・・

  その高校生の選手は、バーの高さよりも10cm以上高いところを
  跳んでいるのですが、バーの高さを10cm上げると跳べないのです。


  それは何故か。


  この高さは自分には跳べそうに無い、そういった心理的障壁があった
  からです。つまり心がブレーキをかけて身体が反応しないと。


  そこでコーチは、跳べた高さにバーの位置を戻し、実際にバーの上の
  10cm以上高い位置を跳んでいる姿をビデオに撮り、繰り返し選手に
  見せました。そして言いました。


  「お前は実際にはこんな高さを跳んでいるのだ」
  「お前なら必ず跳べるはずだ」と。


  アドバイスが功を奏したのか、バーの高さを10cm上げても、見事に
  一回目でクリア。そしてさらに5cm上げても、これもクリア。
  選手はコーチに、こう言いました。


  「なんだ、意外に低いンですね」

  ・・・・・


  このエピソードの様に、私達は知らず知らず自分の限界を
  決めてしまってはいないでしょうか?


  これは、明らかに損ですよね。だって、やれば出来るンですから。(笑)


  特に若い人は、体力的なものと共に、卓球選手としていくらでも伸びる
  可能性があります。


  中高年の方だって、コツさえ掴めば飛躍的に上手になる可能性があります。


  特に卓球は ・・・ ネ! (^^)




  ところで「ピグマリオン効果」っていう言葉を知っていますか?


  聞き慣れない言葉なのですが、これも藤井さんの本「卓球短期上達法
  (ベースボールマガジン社)」で知ったことです。
  その人の長所を見つけ出し、そこを上手に期待をし、効果を上げる、
  ということらしいです。


  ・・・・・

  その選手はシングルスの成績は今ひとつだったが、ダブルスのレシーブが
  非常に上手かった。
  注)卓球のダブルスでは、レシーブが上手い方が断然有利なのです。


  監督はその選手はダブルスのみに起用することに決めた。


  全国大会を前に監督は選手にこう言った。


  「お前のダブルスのレシーブは非凡なものがある。」
  「全国大会でも絶対通用する。どこまで通用するか挑戦してみろ。」
  「俺はお前達のダブルスにとても期待をしているぞ。」


  初戦こそ固かったけれども、一戦一戦勝つ毎に自信を深め、ついに
  ダブルスは全勝し、団体戦全国優勝に大きく貢献した。


  どちらかと言うと大人しくて目立たない選手だったのに、この大会を
  通じて大きく成長し、周囲の選手を引っぱっていく、チームにとっては
  精神的支柱の様な存在にまでなっていった。

  ・・・・・


  監督に自分の良さを認めたもらった、はじめは半信半疑だったが一戦ずつ
  勝ち上がることで自信を深め「自分でも出来るのではないか」と思えた、
  そして、それを境にひと回り大きな自分に成長することが出来た。


  これがまさに「ピグマリオン効果」なンですね!
  監督と選手との間に信頼関係があったからこそ出来たことなのでしょう。


  やはり自分の良さを周囲に認めてもらうというのは、大変励みになるもの
  ですよね。また自信を持つって大事なことですよね。 (^^)


  その選手は自分で自分の能力に気付き、自信を深めて自ら成長していった
  のです。監督はそれを上手に引き出したのです。


  これって、他のスポーツにも応用できますよね。
  ひょっとしたらチームでやる仕事などにも応用できるかも知れませんね。


  「やる気を出せ!」と言ってやる気が出る人は、まず、いません。
  それより、ピグマリオン効果を狙った方が、賢いやり方だと思います。(^^)




  さてもう一人。中条一雄さんですが、中条さんは朝日新聞の編集員で、
  卓球は(おそらく)専門外の方だったと思います。


  藤井基男さんと同時期の卓球レポートに、やはり中条さんのコラムがあり、
  OBUはいつも興味深く読んでいました。


  そのコラムでは卓球以外のスポーツ選手のエピソードが載せられていて、
  そんな選手がいたのか、スポーツ選手にはそんな一面もあるのかと、
  いつも感心させられていました。


  観察眼が鋭いと同時に、スポーツ選手を見守る目に温かみがあるのです。


  記憶がかなり曖昧ですが、こんな感じのコラムがありました。


  ・・・・・

  その棒高跳びの選手は一人で黙々と練習をしていた。


  野球部やラグビー部が使用しているグラウンドの片隅で、一人練習に
  打ち込んでいる高校生に、私は注目した。


  自分でバーを準備し、走路を整備し、入念に準備体操をする。


  スタート位置に立ち、自分の飛ぶべき目標を見つめ、静かに集中力を
  高めている。


  一気にダッシュし、跳躍する。長い準備の後、競技の時間は一瞬だ。


  そして、ゆっくりと歩いてスタート地点に戻る。


  よく見ると、彼は今の跳躍のイメージを頭の中に描いている様だった。
  それを次の跳躍への反省点としているのではないかと私は思った。


  何かを考えて、次の跳躍を行っているように映った。


  ダッシュと跳躍を何本か繰り返した後、後片付けをし、グラウンドに
  一礼して彼は練習を終えた。すでに夕闇が迫っていた。


  彼の行動は一連の儀式の様に私には見えたのだった。

  ・・・・・


  曖昧な記憶を元に書いたので、細部はかなり原文と違っていると思います。


  当時私も高校生で一人でトレーニングや練習をやった時があったので、
  この記事を自分の姿に重ね合わせて読んでいたのだと思います。


  後々になって知ったのですが、どうも藤井さんと中条さんは交流があった
  みたいです。藤井さんの著書「一流スポーツマンの話(卓球レポート編集
  部)」のまえがきの中に、中条さんへの感謝の言葉が書かれていました。


  私が興味を引かれた文章を書いた人たちは、おそらく何らかの共通項が
  あったのだろうと想像できて、私は少し嬉しかったのです。




  ・・・・・
   シャキーン!(←効果音)
  //-------------------/
   OBU’S EYE ★彡
  /-------------------//

  前号で紹介した山中さんも、藤井さんも中条さんも独自の視点と、
  自分の文章のスタイルを持っておられる様に思います。


  なるほどと感心させられたり、はっと気付かされたり・・・・・


  今号で20号を迎えましたが、私の文章は読者の皆さんに、
  どう映っているのだろうって、正直なところ少し気になります。


  少しは皆さんの役にたっていますでしょうか? (^^;


  私もメルマガ作家として自分のスタイルを持ち、体験してきた色々な想いを
  皆さんに伝えたいと思っています。


  では、今号のまとめです。

☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆

1.卓球には意外に「隠れた名著」があるので、読んでみよう。
2.本から得たことは長く心に残り、卓球を形成する上で好影響を及ぼす
   ことがある。
3.チームで何かをやる時は、ピグマリオン効果を思い出そう。
   他の人を認め、自分も認められよう。

☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆


  今回の本の内容の紹介は、私の記憶を元に書いたので、実際の本は、
  もっと違った表現で、おそらく読んだ印象も全然違うものと思います。


  もし興味を持たれた方は、発行元に問い合わせて購入されると良いです。
  よろしくお願いします。


  ※この内容についての「ご意見・ご感想・ご質問」は、
   ぜひ、下記のアドレスまでご連絡ください。
     ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓ 
      info@e3-pingpong.com


  次号もお楽しみに!



●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
   読者さんからの声    ありがとうございます! (^-^)/~
○─────────────────────────────────○
  30日間練習プログラムを読んだ、やまちゃんママさんのお便りです。


  > 30日間練習プログラムを拝読させていただきました。子供が中学校に
  > 入り、卓球を始めました。私も中学から大学までは、卓球部所属でそれ
  > なりにやってきたのですが、子供に卓球を説明するとなると自宅に卓球
  > 台があるわけでもなく素振りを見てやるくらいしかできませんでした。
  >
  > そうすると大学時代の友人がこのプログラムがいいと教えてくれ、早速
  > 拝読させていただきました。子供はこのメールが来ると熱心に読んでい
  > ました。順序良く、的確なアドバイスがくるので、私も読ませていただ
  > いて勉強になりました。学生時代にこんな練習やったな~ととても懐か
  > しくなりました。(彼がお礼を書くといいのですが、このメールはお借
  > りしてるものなのですみません)
  >
  > まだ、一度も子供が卓球をしている姿を見たことがないのですが
  > 今度、このプログラムを基にちょっと知ったかぶりをして卓球をしに
  > でかけようかな~と思っています。
  > ありがとうございました。
  >
  > これからも素敵なHPで情報提供にがんばってください。
  >   やまちゃんママ


   やまちゃんママさんへ

   はじめまして。
   お便り、ありがとうございます。
   静岡のOBUです。

   こういうお便り、大変嬉しいです。
   いや、ホントに。 (^o^)/~


  > 私も中学から大学までは、卓球部所属でそれなりにやってきたのです

   卓球経験者の方も、読んで下さっているとは、感激です。


  > そうすると大学時代の友人がこのプログラムがいい
  > と教えてくれ、早速拝読させていただきました。

   いや、これも嬉しいですね。
   ご友人の紹介ですか。いやー、大変嬉しいです。
   ご友人の方にも、よろしくお伝え下さい。


  > 子供はこのメールが来ると熱心に読んでいました。

   そうですかぁ。嬉しいですね。
   チョット普通では教えないことを書いたつもりです。
   実践していけば、上手になると思いますよ。


  > 順序良く、的確なアドバイスがくるので、私も読ませていただいて
  > 勉強になりました。学生時代にこんな練習やったな~ととても
  > 懐かしくなりました。

   ありがとうございます!
   順序には気をつけました。

   あ、やまちゃんママさんも、似たような練習したのですネ!



  > (彼がお礼を書くといいのですが、このメールはお借りしてるもの
  >  なのですみません)
  >
  > まだ、一度も子供が卓球をしている姿を見たことがないのですが
  > 今度、このプログラムを基にちょっと知ったかぶりをして卓球をしに
  > でかけようかな~と思っています。

   息子さんからのお便りも楽しみにしています。
   気が向いたら、お便りくださいね。(^o^)/

   是非、知ったかぶりをして卓球をしに行って下さい。(笑)


  > ありがとうございました。
  > これからも素敵なHPで情報提供にがんばってください。

   ありがとうございます。
   大変、勇気付けられました。

   また頑張りますので、これからも応援ヨロシクお願いします。

   って、プロ野球のヒーローインタビューの締めみたいですね!(笑)




  「30日間練習プログラム」は、こちら。
    http://www.e3-pingpong.com/program.html


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
   編集後記
○─────────────────────────────────○

  最後までお読みいただき、ありがとうございました。


  最近、非常に筆が遅く、メルマガを書くのに苦労しています。
  アイデアは色々あるのですが、形にするまでのスピードが遅いのです。


  ちょっと体調を崩してから全体的に調子が悪いですね。


  実は先日、尿路結石を患い、救急車で病院に運ばれました。
  体験した人しか分からないのですが、七転八倒の苦しみでした。
  本当に激痛で脂汗が出ました。


  しかし不思議なことに尿管に詰まっていた石が出てしまうと、
  何事も無かった様に痛みが引くのです。
  ホントに「あの痛みはナンだったんだ!」という感じです。


  尿路結石は一段落したのですが、その後、風邪を引いてしまい、
  咳や痰が止まりません。


  多分、身体が「休め!」と言っているのだと思います。
  しかし怠け者の私は、休むとロクなことをしないので、
  無理の無い範囲で動き回っています。


  「何もしない」というのが出来ない性分なンでしょうね。


  ※「相互紹介」募集中です。
   ご希望の方は、メールにてご連絡お願いいたします。
   できれば自分の言葉できちんと紹介し合えることを望みます。

  ※「ご意見・ご感想・ご質問」など、ぜひお聞かせください。
   メルマガの中で、テーマとして取り上げさせていただくこともあります。

  もちろん「これって貧乏性?」も大歓迎です!(^o^)/
     ↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓ 
   info@e3-pingpong.com まで、メールお待ちしています!