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好きこそものの上手なれ

初心者の方がどんな時に「卓球って、おもしろいなー」と感じると
思います?


私の経験では、以下でした。

1.ラリーが続くようになったとき
2.スマッシュを打って決まったとき
3.「取れない」と思ったボールが取れたとき



HPにも紹介しましたが、会社で卓球同好会に入ったとき、周りは
みんな初心者(未経験者)か初級者(かじったことのある程度)でした。


HPのトップページに当時の事が書かれています。
http://www.e3-pingpong.com/


私は経験者でしたので、実力差は明白でした。


ですので、本気でやるのは差があり過ぎるし、そうかと言って手を抜くと、
それは見え見えでかえって失礼だと思い、結構悩んでいました。


悩んだ挙句、出した結論は、

1.つなぎ役に徹し、よっぽどのチャンスボールしか強打しない。
2.本気モードで打ってきた人には、こちらも本気で返す。
3.みんなに楽しんでもらいながら、自分も楽しむ。

でした。


一口に初心者・初級者と言っても、技術のレベルや、どんな時に面白いと
感じるかは、人それぞれでした。


しかし、私はメンバ全員に卓球を楽しんでもらいたかったのです。


ですから自分の持っている技術で、そのアシストが出来ないかと
考えたのです。




・・・・・


ある日、Hさんという女性が仲間に誘われて卓球場に顔を出すように
なりました。新入社員です。最初は勝手が分かりません。


でも1週間もすると、他のメンバがそうだったように、同好会の雰囲気や
ダブルスしかしないローカルルールなど分かってきて、次第に馴染んで
来ました。


緊張気味だった彼女も、キャーキャー言って卓球のラリーを
楽しむ様になりました。


私はうるさいのは嫌いですが、若い女性の黄色い声なら許せますネ。(笑)


彼女はバックショートが上手でした。


面白いもので、初心者の人は、フォアハンドが得意な人と
バックハンド(ショート)が得意な人の2つに分かれるみたいです。
そしてフォアが得意な人はバックが苦手で、バックが得意な人は
フォアが苦手だという傾向があるのです。


おそらく、その人が卓球に入っていきやすい技術、というものが
あるのだと思われます。それが人によって違うと。
グリップやスタンスも関係しているのだと思いますが。


ただOBUの経験(と言っても少ない経験ですが)では、不思議と
バックハンド(ショート)から入る人が多かったです。
聞いてみると「こっちの方が簡単だから」という回答でした。


30日間練習プログラムでも、基本編でショートから説明しているのは、
この経験がベースになっているからです。固定的な考えでなく、
入りやすい技術からスタートすれば良い。これが私の考えです。
http://www.e3-pingpong.com/program.html


話がそれましたが、Hさんはショートが得意でフォアが苦手でした。


ですので私は、彼女のペアと対戦したときは、彼女のバックへ8割、
フォアへ2割くらいの割合で配球しました。バックへは普通のドライブ
ボールを送り、フォアへは超スローボールを送りました。


当然、1球のラリーが長く続きます。


ただそれだけでは面白くないので、ゲームの後半では彼女のバックへ
少し強めのボールを送ったり、同じバックでも少し彼女が動かないと
取れないコースへ送ったりと、変化をつけるようにしました。


私にとっては、それがボールコントロール(強弱、コース)の練習に
なったのです。これはこれで楽しい作業でした。


彼女にとって見れば「ちょっと頑張れば取れる」ので、キャーキャー
言いながら、ショートで打ち返してきました。元々得意な技術なので
幅を広げるのは苦もなかったのでしょう。


そんなある日、卓球を始めて数ヶ月経った頃でしょうか、ついにHさんは
あるメンバのスマッシュをショートで打ち返してしまったのです。
当然、カウンターで得点になりました。


「私って、スゴイかもぉ!キャハハハハ!」


周囲でプレーしていた皆も、一瞬手を止めて、思わず笑ってしまいました。


心から楽しそうにしているHさんは、周りで見ている人にまで、
楽しい気分にさせてくれます。(^^)
彼女のファンである男性会員まで増えました。(笑)


半年もすると、彼女のファインプレーは、2日に一度くらいの割合で
見られる様になりました。その頃には周囲から「上手くなったね」と
声を掛けられるし、彼女自身も卓球に対して興味と自信を持ったのだと
思います。


苦手だったフォアハンドも少しずつ上達し、見よう見真似でスマッシュまで
打つようになったのです。
「生意気な~!」とみんなにからかわれていました。(^^)


Hさんは、もう完全に卓球同好会の常連になりました。


彼女は決して公式試合に出るレベルではありません。
しかし、レクリエーションとして楽しむのなら充分過ぎるレベルに
達したのです。


あれから10年経った今では、みんな散り散りになってしまい、それぞれ
別の人生を歩んでいます。


しかし、Hさんの

「私って、スゴイかもぉ!キャハハハハ!」

という声は、OBUは今でもはっきり覚えています。



シャキーン!(←効果音)
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OBU’S EYE ★彡
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Hさんのケースは、初心者が上手になっていく典型的な成功例です。

プロセスをおさらいすると、

1.最初に自分の得意な技術でラリーを続ける楽しさを知った。
2.自分の得意な技術を中心に技術の幅を拡げて行った。
3.周囲に「上手になった」と言われ、自分でもそれを実感し、
自信と興味を深めて行った。

別に私が押し付けたワケでもなく、彼女自身が卓球を好きになり、
自らの意思で上達して行ったのです。


まさに「好きこそものの上手なれ」です。


「私って、スゴイかもぉ!」


そう思える瞬間が、卓球上達の最も楽しい瞬間なのです。


最初は単なる「まぐれ」です。
でも、その確率が少しずつ上がることによって、
それは「本物」に変わるのです。


今なら言えます。
Hさん、あなたは本当に「スゴイ」のです。


何故って、全くの初心者が半年間であんなに成長したのを
私は、かつて見た事がありませんでしたから。



・・・・・

指導者って、上から教える教師的な立場ではなく、その人の才能を
引き出す、単なるアシスト役なのかも知れませんね。(^^;


※この内容についての「ご意見・ご感想・ご質問」は、
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↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓ 
   mailto:info@e3-pingpong.com


次号もお楽しみに!